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2006年10月30日 (月)

D.C.Ⅱ SS

ということで、こちらに掲載のD.C.ⅡのSSです。

いちおう、初音島文学賞用に応募したものですが、滑ったので掲載。
ってか、G'sと姫の両誌で大賞がサブキャラだったのは出来レースですか?
などと邪推してしまう自分が気の毒である。
と、御託はこの程度にしておいて本文は以下ですわ。
杏シナリオのネタバレを若干含みますので、ご注意ください。


二人乗り

『~~~~♪』

日曜日の朝、惰眠を貪っている俺。そんな中、携帯が着信を知らせた。
俺は時計を見る。時刻は9時を回った辺り。
誰だよ、ったく。まだまだ寝たりない頭を無理やり起こして携帯を掴む。
相手は……杏か。今日は特に約束をしていなかったはずだが?
俺は通話ボタンを押した。
「もしもし」
「おはよう、義之」
聞きなれた声が受話器の向こうから聞こえる。
「どした?また迷子か?」
「うん。お願い」
特に切羽詰った様子がないのはいつものことである。
「了解。近くに何が見える?」
「えっと……」

杏が一度記憶を失ってから、彼女の記憶障害は再発した。
さほど深刻ではないものの、時折り生活に支障をきたすことがある。
当時、一度は俺のことすら忘れてしまったのは悲しい事だったが、それは昔の話。

と、話を戻そう。
杏はどうやら、天枷研究所付近で迷子になっているらしい。
さっきの電話は、迎えに来て欲しいとのことだった。
杏は例の記憶障害とやらで、時々迷子になることがある。
そのつど俺が面倒を見ているわけだが、あまり頻繁に迷子になるのなら、
一緒に住むことを提案しようかとも思う。
さくらさんを一人残して家を出るのは忍びないので、一緒に住むなら杏を招待、だろうか。
さくらさんは歓迎してくれることは間違いないだろうが、最初は居候くらいから始めればいいか。
居候→同棲→結婚→温かい家庭。
なんて未来予想図を描きながら家を出る準備を始めた。


俺は最近買った自転車を引っ張り出すと、天枷研究所方面に向かう。
杏の迷子対策にと、思い切って買ってしまったのだ。
自転車自体はいわゆる『ママチャリ』なので、見た目の格好よさはイマイチ。
ただ、ママチャリには利点が一つ。後ろの荷台に荷物を載せられるという点だ。
……自転車ってけっこう偉大だよな。発明した人に感謝だ。

特に信号にひっかかることもなく目的地に着いたが、杏はどこだ?
俺は辺りを見回した。バス停のベンチに座る杏を見つける。
「お待たせ」
どこか遠くを見ていた杏は俺に気が付くと顔を上げた。
「こんな朝からなにやってたんだ?」
まだ10時前だ。商店街もやっと活気が出てくる時間。
なのに、その時点で迷子になってたわけだから、もっと早い時間から
杏は家を出ていたことになる。
「茜の家に行こうとしたのだけど、なぜかこの辺にいたの。ミステリーね」
茜の家って杏の家からかなり近くなかったか?
っていうか茜も記憶のこと知ってるんだから、自分から出向いてやれよ。
この場にいない茜に心の中で愚痴る。
「とりあえず乗ってくれ。茜ん家まで送るから」
「ありがとう。助かるわ」
バッグを前カゴに入れた杏は、後ろの荷台に腰掛ける。
そう、ママチャリなのは後ろに杏を載せるため。
それだけの理由でカッコ良いMTBなんかはスルーしたのだ。
「んじゃ行くぞ」
「うん」
腰に手を回してくる杏。
小さいながらも、それなりにある杏の胸が感じられた。
うん、やっぱ移動手段は自転車がベストだな。
ささやかな幸せを感じながら俺は自転車をこぎだした。
杏のスカートは長く、ひらひらしたのがたくさん付いているから不用意にスピードは出せない。
だから自転車のスピードは早歩きと大差ないくらい非常にゆっくりだ。
け、決して杏にずっと抱きつかれていたいとか、そういう訳ではなくってだな?

その道すがら、杏が話しかけてきた。
「義之」
「ん?」
「いつもごめんね」
俺の背中に頭を預けるようにして杏が言った。
俺と二人の時にだけ見せる、杏の弱気な部分。
「何を。気にしてねーよ」
杏と付き合うって事は、杏の負担を一緒に背負ってやるということ。
今のところ大きな問題は起こっていないが、この先なにもないと限らない。
それこそ、人生を左右しかねない出来事だってあるかもしれない。
それでも二人で支え合っていくと決めたんだ。
「うん。ありがとう」
珍しく、しおらしい杏だった。どうしたのだろう。
「何かあったのか、杏?」
「ううん、たまにはこういうセリフも良いかなって。萌えた?」
「くっ」
そうだ、杏はこういうヤツなんだ。
小悪魔っぽく笑う杏の顔が目に浮かぶ。
おそらく、俺の真後ろでそんな顔をしているのだろう。

自転車でのんびり15分ほど走り、茜の家に到着した。
「ほい、着いたぞ」
「うん。ありがとう」
杏が降りたのを確認すると、俺も一度自転車から降りる。
「義之も一緒に来る?茜なら歓迎してくれるわよ」
花咲家のインターホンを押す前に杏が振り向くとそう言ってきた。
「今日の杏たちの遊び内容によるな」
起き出しては来たものの、家に帰ってもう一眠りすることも考えていた。
「この後、商店街へ水着を買いに行くの」
なんてことはない、ただのショッピングのお誘いだ。
俺が付いていったところで、荷物持ち確定なのだろう。
しかし、その中に聞き捨てならない単語が含まれていた。
そう、『水着』。
「是非ご一緒させてください!」
荷物持ち上等。俺は即答で快諾した。


~あとがき~
約1950文字で構成。電撃姫にこんな作品を送ったんですけどね。
途中経過で杏SSの応募が少ないとのことを知り、その時点で
大賞が取れないことは目に見えてましたが。
G'sに送ったほうも後で掲載します。
どうせ埋もれる作品なんだから、誰かに読んでもらった方がこの作品も
浮かばれる。

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